奈落の底への伝言4/92012年04月09日 12:00

奈落の底への伝言63・・樋口一葉

うわさとかによればだが、英国の食事の味付けは素朴らしい。素朴よりは、むしろマズイほどらしい。そのことは“伝言61”出てきた藤原正彦さんも書いておられるからケンブリッジ大学内の食堂でもそうであったのだろう。だが、栄養不良になるようなものではあるまい。福沢諭吉の緒方洪庵の適塾になると、自分たちで、それも洗面器あたりで作ったようなものが多く、医者の息子などが多かったとはいえ、かなり貧相であやしいのだが。ただ、似た時代の、樋口一葉(5千円札の)だの、林 芙美子だのの日記によれば日本の庶民全体が貧相だから、これは仕方がない。・・というか、貧乏と辛抱が人を育てた(教育した)と言えよう。

とにかく、ケンブリッジ大学に行くような(日本で言えば私立に行く金持ち)学生(天才が多い)は、そのような食事やらに不満をもらしたであろうか?・・答えはノーだ。寝食を忘れる日々もあったぐらいであるからである。特に自然科学(理数系と同義語)は若者の学問といわれるほどの集中力と持続力が要求されるから寝食を忘れたのだ。凡人の我々には分からない。

しかし、問題は、どうやら現代の日本は、失速(経済と文化が墜落)するという状況であるという。この状況を、メルトダウン(構造物が溶け落ちる)とか崩壊(粉々に砕けるイメージかな)とも言うらしい。  原因は酷であるが、若者が育っていない・・責任者出て来いとかを言うことだけが上手な国民になってしまっていて、自分では解決しない、できない。そういうのがハヤリなのだ。セーフティネットなんて言っている救済策を本当に国家や国連がするべきなのだろうか?やがて100億人もの人類に?

天は努力する者にのみ、財(衣食住)を分け与える。自らを助けることこそが人なのだ。だいたい、今の日本においては、ライバルを出し抜くのは世界一簡単と思われる。その方法は、好きな勉強を探し出して熱中すること。そう、福沢も樋口も言っている。

一葉


奈落の底への伝言4/9の22012年04月09日 21:23

奈落の底への伝言64・・顔

言葉遣いや顔かたちは、生まれつきで、努力しても変えることができないので論議しても無駄であると言う人がいる。うーむ、酒飲みのような癖すら直せないと論じたこともあって、一理あることだ。・・この“一理あるとか、もっともなことだが”といった言葉は相手に理解を示すかに見えるが、必ず、その後に否定文が来るという、カウンター(打ちにこさせる隙を見せておいて、油断したところを不意打ちにするようなもの)である。・・ほらね。

顔つきが直せないとは正しそうであるが、人の発達成長の理屈を考えれば、正しくない。心の働きを考えてみれば、これが顔にも及ぼさないことは無い。それは体を鍛えて筋力を上げれば、体つきが変化することと変わらないからだ。言葉遣いも、顔つきも心身の働きであるので、放置しておいて良くなることは無いのは当然である。・・・学問のすすめ第17編

この話は、江戸時代に儒学をはき違えた者(封建制度を創り出した者)によって、いつも表情を変化させないもの(愛想を作る者(巧言令色)は狡猾であるという儒教思想)を批判しているのであるが、思考している姿というか、その人に合致した努力の姿こそが美しいのである。浅田真央で言えば、スケートに向かっている時が最も優れているということで、その努力時間が長ければ、顔つきも体つきも、頂点に向かって進むということなのだ。なるほど、チャイコフスキーなど相当にいい顔になったわけだ。

チャイコフ